『切り裂きジャック』(パトリシア・コーンウェル)シッカート犯人説について仔細に分析・考察した読み応えのある一冊!

月、兵庫県立美術館で開催されている「怖い絵展」へ行って来たんですけど、そこで展示されていたシッカートの『切り裂きジャックの部屋』の説明で「切り裂きジャック・シッカート犯人説」とやらを知って興味を持ち、現在、パトリシア・コーンウェルの『切り裂きジャック』を読みふけっております。

 

小説ではなく、シッカート犯人説について、あらゆる方面から分析・考察してある本です。

 

 

当時の検死方法が現代と比べてかなり雑で不正確であったこと、物的証拠が価値を持たず、捜査は人々の証言が頼りであったこと、目撃者たちの警察に対する態度、それからシッカートの家庭環境や生い立ち、記録として残っている情報から推測される性格などが仔細に調べ上げられていて、かなり読み応えがあります。

 

被害者たちの写真(だいぶアカンやつ)や手紙などの資料も豊富で、事件の足跡をリアルに追っているような臨場感を得られました。

 

まだ最後まで読めてないのですが、ここまでで特に興味を惹かれたのは、シッカートが切り裂きジャックだという視点から彼の作品を分析した部分です。

被害者の遺体にそっくりの容姿&ポーズのモデルが出てくる絵の存在や、彼の絵に登場する多くの女性の首の周りに謎の黒い線(切り裂きジャックの被害者たちと同様に首を掻っ切られているように見える)が入っていること、さらに目の飛び出た婦人警官(当時、スコットランド・ヤードに勤務していた婦人警官にそっくり)の絵をスコットランド・ヤードに贈っていることなどなど……。

 

もし、当時の人たちが、何も知らずに見ていた絵にそんな秘密が隠されていたと知ったら……超ガクブルですね!

 

リアル推理をしている感覚で読めるので、ミステリー好きさんにもおすすめの一冊でございます。