フランス文学『椿姫』に学ぶ気高い愛の教え

ランス文学の名作『椿姫』を読みました。

オペラや歌劇にもなっている有名な作品です。いろんな方が訳していますが、個人的には『椿姫 (光文社古典新訳文庫)』の西永良成さんの訳が現代風で読みやすくておすすめです。

高級娼婦が主人公ということで、淫靡で官能的な内容を予想していたのですが、ふたを開けてみたら非常に気高い愛の物語でした。

 

「交際をスタートさせた当初から疑い癖のひどかったアルマンのことだから、父に説得されるうちにマルグリットへの信頼が揺らいでしまうのでは?」

 

わたしはそう考えたのですが……

 

意外にもアルマンの決意は固く、父があの手この手で説き伏せようとしても揺るぎませんでした。そして結局、両者の話し合いは仲違いする形で終わってしまいました。

アルマンの気持ちがここまでしっかりしてるなら、二人の関係は大丈夫だろう。そんなふうにほっとした矢先の出来事でした。

なんとマルグリットが突然の裏切り行為を見せます。アルマンが父と二度目の話し合いをするために出掛けているあいだに、手紙を残して消えてしまったのです。彼女は以前から申し出のあったN伯爵の愛人になることを決意したのでした。

 

マルグリットの行動は不可解で、そこにアルマン父が関係していることはほぼ間違いないように思われますが、真意のほどはわかりません。

 

彼女の死後、付き人の女性に託した日記という形で真相が明らかになるまで、この謎は読み手を惹きつけて先を読み進める原動力となります。

 

長くて内容も密なので、さらっと読める作品ではありませんが、その分読みごたえがあって身になります。恋愛について深く考察したいときにおすすめ。