噂と憶測で不安をふくらませた母親たちの行動が悲劇につながっていく……英国ミステリの女王が描いた衝撃作『遮断地区』

者が現代英国ミステリの女王であること以外何の知識もなく手にした『遮断地区』 (ミネット・ウォルターズ / 創元推理文庫) 。
よくある謎解きどんでん返し系の作品ではなく、どちらかというとスリリングホラーに近い内容でした。かなりショッキングなシーンが含まれているので、苦手な人は読むのを控えた方がいいと思います。

ただし、単にグロさを追求した作品ではなく、重厚なテーマが込められた読み応えのある作品ではあります。

 

 

あらすじ(amazonの商品説明より)

バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に監禁されて…。現代英国ミステリの女王が放つ、新境地にして最高傑作。

 

 

舞台のバシンデール団地は、シングルマザーや貧乏な老人など、訳ありな人たちが寄り集まって暮らしているスラムのような場所です。住んでいる子どもたちの中には薬物中毒の子や問題行動を起こしてばかりいる子たちがたくさんいます。

物語は、噂を憶測で不安をふくらませた母親たちが計画した抗議デモが、暴力的なエネルギーを持て余していた子どもたちの手によって暴動へと発展し、収集がつかなくなっていくという流れで展開していきます。

 

偶然その場に居合わせた女医や彼女を救いたいと願う人々、デモを計画した母娘、その娘の弟と夫たちが、なんとか暴動を収めようと奮闘する一方で、少女の誘拐事件の謎や小児性愛者の素性が解き明かされていくのですが……。

 

ぽつりぽつりと犠牲者が出始めたあたりから、「このままでは大量の死傷者を出すことになってしまう」とハラハラしっぱなしでした。

ラストは本当に衝撃的です!!!!