「何気ない日常体験でここまで遊ぶことができるのか!」と衝撃を受けた――穂村弘『整形前夜』

村弘さんのエッセイにドハマりしておりまして、最近三冊ほど購入しました。こちらの整形前夜と『にょっ記』シリーズです。(『にょにょにょっ記』は文庫版がまだみたいだったから待ってます)

本日はその中から『整形前夜』をご紹介。

 

穂村さんのエッセイは、ふつうに生きていたらスルーしがちな、というかくだらなすぎて誰も深く考えようと思わないような違和感や疑問がテーマになっている作品が多いです。

この『整形前夜』にも、そういった要素が随所に散りばめられています。彼の視点を通して見た世界は実にクレイジーいや、エキセントリック。(どっちもあんまり変わらんがな)

「何気ない日常体験でここまで遊ぶことができるのか!」と衝撃を受けました。

わたしは長いあいだ「くだらないことに対する追求心」を封印してきたので、今後、この本を何度も読み返すことで、今は影をひそめている自分の中の「魔の三歳児」を開放できたらなと思います。

同時に抱えている〆切が五本以上になると「魔界に入って赤い舌が見える」とか(『デッドライン』)、地味な夏休みの過ごし方についてめちゃくちゃ細かく描写した日記(本当に地味なのに書き方ひとつですごくおもしろく仕上がってた)(『透明な夏』)とか、見えてる世界がわたしたちとまったく違うんですよ! 

切実にほむほむ(穂村さんの愛称)眼鏡が欲しくなりました。(でも、真似しても仕方ないから、わたしはツルゾノ眼鏡を磨こう)

 

その他、作家としてのエピソードや好きな作品(小説、短歌、漫画など)、言語感覚に切り込んだ作品なんかもあって、書き手としては非常に興味深い一冊でした。

最後の方には妄想炸裂(一部、本当か嘘かわからない話も含まれてた笑)ほむほむワールド全開の『二十一世紀三十一文字物語』なるものまで収録されていてボリューム満点。

穂村弘さんファンにはもちろん、穂村さんの本は読んだことがないという方にもおすすめです。

ただし、他のエッセイ同様、今回も爆笑すること間違いなしなので、絶対にひとりになれる場所で読んで下さい。わたしは家で文字通り笑い転げながら読破しました。