エッセイなのに結末がミステリー!? 穂村弘『現実入門』 

 

SHOWROOMの配信を始めて以降、やれ旅行だお泊り会だオフ会だと飛び回っていた上に水面下で小説も書いていたので、ブログの方がすっかりお留守になっていました。

やっと落ち着いてきたので、久しぶりに本の紹介をしたいと思います。

 

じゃん!

 

人生の経験値が著しく低い穂村さんが、担当編集者のサクマさんと一緒にいろんな「はじめて」を体験し、その内容をまとめたエッセイ集です。

 

 

始めは「献血」という無難なところからスタートするんですけど、二回目以降、突然ショールームの見学やブライダルフェアなどカップルイベントが多くなってきます。

先方に取材だと明かさずに訪問しているので、二人とも現場では恋人同士や夫婦のふりをする機会が多いんです。その会話がなんていうかいい感じに凹凸が一致していて、うっかり、「この二人、相性が良さそうだな。恋人同士のふりをするうちに、俳優みたいな感じで恋に落ちて付き合うことになるのでは?」なんて下世話なことを想像してしまいました。

 

そんな感じでニヤニヤ読み進めていくと、最後の方、パラサイトシングルマンの穂村さんが引っ越すための家を探すという回のラストで不可解な会話が飛び出してきます。

 

「それで、二軒目で決めちゃったんですか」

(中略)

「しかもそんな狭い部屋を」

(中略)

「だって、ふたりで住むんですよ?」

 

てっきり一人暮らしをするのだと思い込んでいた私は、「え、誰と?」と不意打ちをくらわされた気持ちになりました。

 

「もしかして、この時点でサクマさんとテキているのか?」

「それとも一緒に暮らすことも含めて取材の一環なのか?」

 

様々な憶測が頭の中をめぐります。

そして次の回、明らかに「彼女の両親に結婚の挨拶に行く」というシーンが描かれているんですが、それも取材の一環なのかなんなのか。なぜか突然サクマさんの名前が出てこなくなり、「彼女」が多用されているし。

 

混乱しながらも答えを求めて「あとがき」を読み始めると……。

 

そこに衝撃的な一文が!!!!

 

いつものゆるゆるエッセイだと思って油断していたら、ほむほむの企みにがっつりハマってしまいました。

 

エッセイとしてはもちろん、ちょっとしたミステリーとしても楽しめる一冊です。

ぜひこの衝撃を共有しましょう!!