反抗期特有のモヤモヤやイライラの中身を解き明かしてくれる小説『モサ』

の作品は感想を書くのが難しいので紹介するか迷ったんですけど、せっかく読書メモもあることだし、伝えられる部分だけでも伝えてみようと思います。

人間でも動物でもない不思議な存在のカルガリ一家(外国人っぽいけど舞台は日本です)の長男・モサ(ニート)が主人公の物語です。

モサはイッカイの町の隣にあるニカイの町に住んでいます。(こういう言葉遊び的なのすごく好き)

 

モサはなんていうか、反抗期特有の斜めに物を見る感じで、女の子になりたいわけじゃないけど性別の縛りに反抗してスカートを履いちゃったりする子。

著者の山崎ナオコーラさんは、初期のころからずっと「性別に縛られることへの違和感」をテーマにされているので、「え、ここにも生きているなあ」と思いました。

 

 

で、ある日、モサが天文台で毎日星を観測しているホシヨミさんと一緒に流星群を観測していると、燃える星に乗って女子高生っぽい服を着た女の子が落ちてきます。

ここから物語が展開していきます。


個人的にすごく共感したのは、モサとお母さんとの会話で、

 

(珍しく早起きしたモサに)
「誰と会うの? どこへ行くの?」
「管理、管理、管理」
「管理したくて聞いてんじゃないの。親には、未成年の子どもを、守る義務があるの」
「義務感が言動の源なんて、暗い。オレがどこへ行くかになんて、本当は興味ないくせに」

 

コミュニケーションじゃなくて尋問されてるみたいな感覚、私もあったなあって。先回りして「変なことはさせないぞ」って、何しようとしても邪魔される感じと言いますか。

紆余曲折を経て親と和解した今でも、「邪魔されるんじゃないか」って疑ってしまうことがあります。

リアルタイムな話題を出すと、親が恋人に会いたがってるんだけど、会わせたらなんか嫌なことが起こるんじゃないかってビクビクしている自分がいたりして。


……あれ、何の話しだっけ。

そうそう、反抗期! この小説は反抗期特有のモヤモヤやイライラの中身を解き明かしてくれる作品です。読みながら何度も、「そうだ、あのときは靄がかったみたいになって見えなかったけど、たしかにわたしもこんなことを感じていた!」って、まるで数年越しに答え合わせをしているような気分になりました。

 

 

モサに対しては、「言ってることはわかるけど、結局君は何もしてないじゃん」ってけっこうイライラさせられたんだけど(これがきっと親の目線なんでしょうね笑)、最後は自分の道を見つけて、両親とも向き合って、いい感じで自立の一歩を踏み出します。

 

途中、ちょっと退屈に感じる部分もあったけど(でも、こういうのって読んでるときの気分にもよるよね)、全体的に好きな雰囲気の作品でした。特に後半がすっごくよかったです!

荒井良二さんの三歳児のラクガキ風のイラスト(失礼)にも癒されました。